2024年新形式!英検2級ライティング要約の練習問題と解き方のコツ

英検2級の問題形式が大幅にリニューアルされました。
この変更は、国際的な英語の試験のトレンドを踏まえて、「理解」できるだけでなく、思考し「表現」できる英語への移行を意味するといえます。

この記事で、オリジナルの練習問題とともに、解答のプロセスを練習しましょう!

試験の変更内容と新形式の特徴

理解できるだけでなく、表現できる英語へ

2024年第1回の英検から、英検2級の問題形式が大幅にリニューアルされました。この変更について、日本英語検定協会は出題形式の変更内容出題例を公表しています。

出題分野変更点
単語問題3問削除
長文問題4問削除
英作文問題1問追加(要約問題を新設)
二次試験(スピーキング)変更なし

出題の内容は変わりますが、英検2級の試験時間は85分のまま変わりません。リニューアル前と変わらず時間的な制約は厳しいですから、速く読んで理解する力を磨きましょう。

リーディングとライティングの融合問題が新設

● 以下の英文を読んで、その内容を英語で要約し、解答欄に記入しなさい。
● 語数の目安は45〜55語です。
● 解答欄の外に書かれたものは採点されません。
● 解答が英文の要約になっていないと判断された場合は、0点と採点されることがあります。英文をよく読んでから答えてください。

日本英語検定協会

この問題文からわかるのは、与えられた文章を正確に読み、自分の言葉で要約することが必要ということです。意見論述問題とは異なり、提示された文章をまとめることになります。内容を慎重に把握しましょう。

問題文は、英検2級レベルの語彙が多く詰まった文章ですが、既存の長文問題と比べると難易度は少々低いといえるでしょう。2級で要約する語数は字〜70字と短いです。書きすぎないように、必要最低限の内容をコンパクトにまとめる練習をすることが重要です。

評価観点は意見論述問題と同じ

評価観点は(1)内容(2)構成(3)語彙(4)文法、の4つです。
各観点ごとに0-4点の5段階で評価され、満点は16点です。

項目内容配点
内容課題で求められている内容(意見と理由)が含まれているかどうか0-4 点
構成英文の構成や流れがわかりやすく論理的であるか0-4 点
語彙課題に相応しい語彙を正しく使えているか0-4 点
文法文構造のバリエーションやそれらを正しく使えているか0-4 点

後述する日本英検協会の説明によると、語彙のレベルは、少なくともB1〜B2レベルが必要です。
また、準1級レベルになると「かなり正確な文法が求められる」とされてます。多少の間違いは許容されますが、「そういう語順だと別の意味でとられてしまう」「肯定と否定が逆に伝わってしまう」といったミスは避けるべきです。

とはいえ、意図が誤って伝わってしまうような状況を避け、伝えたいことが正確に伝わるようにするには、文法学習を避けて通ることはできません
多少のミスを気にしすぎる必要はありませんが、「何を言いたいのかがわからない」という状態にならないように、普段から注意して練習しましょう。

問題の解き方 3つのポイント

要約する5つの手順として、日本英検協会がとても丁寧な動画を公開しています。

実際、この動画の解き方を頭に入れておくだけで、十分に合格点をとれるといっても過言ではありません。受検者はこの動画を必ず視聴しておきましょう。以下では、この動画で紹介されている問題の解き方の3つのポイントを具体例とともに紹介します

安河内哲也先生(一般財団法人実用英語推進機構代表理事)は、(1)文章全体で伝えているメッセージを捉える、(2)パラグラフごとの重要なポイントを盛り込む、(3)具体的表現を抽象的表現にまとめる、の3つのポイントを紹介しています。

公式に発表されている問題の解き方について、具体的な内容を見ていきましょう。

(1)文章全体で伝えているメッセージを捉える

まず、文章全体で筆者がいちばん言わんとしていることは何かを捉えましょう
主張の軸がわかってはじめて正確な要約ができます。つまり、主張の正しい特定が最初のカギです。

(2)パラグラフごとの重要なポイントを盛り込む

「パラグラフごとの重要なポイントを盛り込む」とは、各段落の主要な内容を簡潔にまとめることです。
各パラグラフには異なる主張や事例が含まれているため、要約ではそれらを全て網羅することが求められます。各段落のキーワードや中心的なテーマを抜き出して簡潔にまとめることで、内容のバランスを保ちながら要点を正確に伝えることができます。

(3)具体的表現を抽象的表現にまとめる

数字や固有名詞は、一般的・抽象的な表現に言い換えましょう

例えば、動画内では”carrots, cucumbers, onions and eggplants(ニンジン、きゅうり、玉ねぎ、そしてナス)”を”various vegetables(さまざまな野菜)”と言い換えることが紹介されています。このような言い換えを、普段から練習しましょう。

固有名詞一般的・抽象的な表現
Amazon Rainforest in South America, Sahara Desert in Africamajor natural landscapes
Paris’s Eiffel Tower, New York’s Empire State Buildinglandmarks in major cities
the Vatican City in Italy, The Forbidden City in Chinahistorical sites

このようなパラフレーズを練習するには、同義語・類義語辞典やコロケーション辞典を使ったり、実践的な演習をする必要があります。詳しくは「【英検/IELTS/TOEFL対策】パラフレーズ力を鍛えるアウトプットの方法5選」の記事をチェックしましょう。

実際に解いてみましょう

では、具体的にどのように要約文を作ればいいのでしょうか。

要約を行う前に、問題文をよく読み、内容を理解することが重要です。特に、各段落の主旨や重要な情報を見つけることに集中しましょう。
そして、文章を要約する際は、各パラグラフの重要なポイントを抽出し、それを要約文に反映させましょう。これには情報の取捨選択が必要なため、何度も練習することが必要です。

この3つのポイントを念頭に置いて、下記の文章を約2~3分で読んでみてください。
それぞれのパラグラフで最も重要なのはどんな情報か、自分で考えてみましょう。

練習問題

The number of people living in cities has been increasing rapidly over the past few decades. Many people move to urban areas in search of better job opportunities, education, and healthcare.
However, the growing population in cities has led to various problems, such as traffic congestion, air pollution, and a higher cost of living.
Some experts argue that governments should invest more in public transportation and affordable housing to alleviate these issues.

KotobaNerds English

(1)内容の把握

まず、文章全体を通して読み、主要なテーマやポイントを把握します。
この段階では、都市の人口増加がどのような背景や理由によって引き起こされているのか、具体的な要因(仕事、教育、医療)を特定することが重要です。また、増加した人口が引き起こす問題(交通渋滞、大気汚染、生活費の上昇)についても理解します。

(2)重要なポイントの抽出

次に、文章から要約に必要な重要な情報を抽出します。このとき、以下のポイントを考慮しましょう:

  • 人口増加の理由(都市への移動の動機)
  • 都市化による具体的な問題点
  • 専門家の提言(公共交通機関や手頃な住宅への投資)

これらの要素を整理して、どの情報が要約に不可欠かを判断します。

(3)簡潔にまとめる

最後に、抽出した情報をもとに簡潔な文を作成します。要約は45〜55語に収めることを意識しながら、情報の流れが自然になるように言葉を選びます。
具体的には、抽出したポイントを1〜2文に凝縮し、理解しやすい形で表現することが重要です。
例えば、「都市の人口は、仕事や教育を求める人々によって増加し、交通渋滞や大気汚染といった問題を引き起こしている。専門家は公共交通機関や手頃な住宅への投資を提言している。」といった具合です。

この三段階の思考手順を踏むことで、文章を効率的に要約することができます。

解答例①

More people are moving to cities for better jobs and services, but this has caused traffic, pollution, and high living costs. Experts suggest public transport and housing investments as solutions. (45 words)

この要約は、都市人口の急増がもたらす問題を明確に示しており、特に交通や環境問題に焦点を当てています。短い文の中で、政府が取るべき対策としての公共交通機関と手頃な住宅への投資を提案している点が素晴らしいです。要約の目的に沿った内容であり、問題文の要点を的確に捉えています。
さらなる向上のためには、移住の理由も含めることでより深い理解を提供することができると思われますが、現在の形でも十分によい要約です。

解答例②

Urban populations are rising quickly, causing issues like traffic and pollution. Governments are encouraged to invest in public transport and affordable housing to reduce these problems. (45 words)

この要約は、人々が都市に移動する動機を的確に捉え、「より良い仕事とサービス」という表現が印象的です。また、交通や汚染、高い生活費といった問題を簡潔にまとめている点も評価できます。専門家の提案を自然に織り込んでおり、要約全体に一貫性があります。文章の流れもスムーズで、情報が分かりやすく伝わっています。

解答例③

Rapid urbanization is causing problems like traffic congestion and pollution. Experts believe governments should invest in public transportation and affordable housing to solve these challenges. (45 words)

この要約は、都市化による具体的な問題(交通渋滞や汚染)を的確に指摘し、専門家の意見を簡潔に表現しています。そのため、内容が明確で理解しやすく、要約としての役割をしっかり果たしています。文章が簡潔である一方、内容がしっかりと要約されている点が特に素晴らしいです。
背景情報を追加することで、より一層の深みを持たせることが可能ですが、現時点でも優れた要約であることは間違いありません。

論理的に読み、表現できる力を鍛えよう

今回紹介した解法ステップは、すべての問題に適用できるとは限りませんが、文章を論理的に理解し解釈するのに有用です。この読み方を習得すれば、出題形式が異なる文章でも大きく外れることはないでしょう。

さらに、このような練習は試験対策だけでなく、本質的には「英語を自由に使う」スキル、さらには「言葉を自由に使う」スキルを向上させることにつながります

英検は、私たちの英語学習をサポートしてくれるバランスの取れた試験ですが、受検者の皆さんの最終的な目標は合格のその先にあるはずです。
英語学習には「こうしなければならない」という唯一の方法はありません。困ったときはサポートを求め、一つの方法に固執しすぎずに、まずは自分のやりたいように取り組んでみましょう!

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