能動語彙と受動語彙
能動語彙(Active Vocabulary)とは?
能動語彙(Active Vocabulary)とは、自分が実際に使える単語や表現のことを指します。つまり、ライティングやスピーキングの際に、自然に口に出せる、または書くことができる単語です。 能動語彙は日常的に頻繁に使われるため、即座に思い出しやすいという特徴があります。
例えば、日常会話でよく使う以下のような単語やフレーズが能動語彙にあたります。
能動語彙(Active Vocabulary)の例
- Thank you(ありがとう)
- Good morning(おはよう)
- I think …(私は〜と思う)
- like(好き)
- enjoy(楽しむ)
これらは普段の生活で頻繁に使うため、学習が進むうちに、特に意識しなくても自然に出てくる場合が多い言葉です。
受動語彙(Passive Vocabulary)とは?
受動語彙(Passive Vocabulary)とは、読んだり聞いたりしたときに理解できる一方で、自分では使うことが少ない単語や表現のことを指します。 これらの単語は頭の中にはあるものの、能動的に使う機会が少ないため、すぐに思い出せないことが多いです。
例えば、ニュース記事や学術論文などで出てくる以下のような単語やフレーズが受動語彙にあたります。
受動語彙(Passive Vocabulary)の例
- require(必要とする)
- prevent(防ぐ)
- involve(関与する)
- assume(仮定する)
- exacerbate(悪化させる)
これらの単語は、学習が進むうちに読んだり聞いたりすると意味が分かるかもしれませんが、自分で瞬間的に使うのは難しいと感じることが多いでしょう。「覚えているのに出てこない」という場合、単語の難易度の差だけではなく、使うことが少ない表現であるために、瞬間的に思い出すことが難しいのです。
能動語彙と受動語彙の関係
一般的に、受動語彙(理解できる語彙)の数は能動語彙(実際に使える語彙)の数よりも多くなります。つまり、「知っているけれど使えない単語」が多いのが普通です。 語彙を理解するだけであれば、その単語を知っているだけでよく、文脈や周囲の情報から意味を推測できることもあります。しかし、能動的に使用するためには、その単語の意味だけでなく、正しい文法、発音、適切な使用文脈なども理解していなければなりません。
「知っている」を「使える」に変えていこう
例えば、英語で何かを読んでいて、内容は理解できるのに自分でその内容を説明するのが難しいと感じることがあるかもしれません。これは、受動語彙は豊富であるものの、それを能動的に使う練習が不足しているためです。
そのような場合、以下のような具体的な対策を取ることで、受動語彙を能動語彙に変えていくことができます。スムーズに出てくるように、少しずつ練習しましょう。
受動語彙を能動語彙に変える方法
1. 反復練習
新しい単語や表現を覚えるためには、繰り返し練習することが重要です。フラッシュカードや単語帳を使って、定期的に復習しましょう。また、書く練習や話す練習も取り入れることで、能動語彙として定着させることができます。
- 単語帳やフラッシュカードを使う:QuizletやAnkiなどのアプリを使って、日本語の意味を見て瞬間的に英単語を思い出す練習をしましょう。
- 日記を書く:学んだ単語を実際に使って、短い文章を書きましょう。例えば、「昨日は新しいレストランに行きました。食事はexquisite(絶品)でした。」というように、できるだけ新しい語彙を使うように心がけます。
2. 文脈で覚える
単語を文脈(コンテキスト)で覚えることで、実際の使用場面をイメージしやすくなり、記憶に定着しやすくなります。読書や映画鑑賞を通じて、単語がどのように使われているかを観察しましょう。
- 具体的な例文(使い方)と一緒に意味を覚える:英語の記事や本を読む際に、新しい単語に出会ったら、その単語が使われている文脈ごと理解するようにします。例えば、「The weather was inclement, making it difficult to travel.(天気が悪くて旅行するのが大変でした)」という文脈で「inclement(荒れ模様の・厳しい)」の意味を覚えます。
- 映画・ドラマ鑑賞でセリフを真似する:英語の映画やドラマを見て、新しい表現をメモします。例えば、「That’s a piece of cake.(それは簡単なことです)」というフレーズを覚えておいて、使えそうな状況を頭に入れておき、実際に真似して言ってみましょう。
3. 実践の場を持つ
実際に英語を使う機会を増やすことが、受動語彙を能動語彙に変える最も効果的な方法です。英語のひとりごと練習やオンライン英会話を利用して、実践の場を持ちましょう。
- 英語のひとりごと:毎日、起きて準備をしている時や、夜の寝る前など、時間帯を決めて今日の出来事や自分の考えていることを話してみましょう。たった数分でもいいので、習慣的にアウトプットの練習をすることが重要です。
- オンライン英会話:Camblyやitalkiなどのオンラインプラットフォームを利用して、バイリンガルやネイティブスピーカーとの会話練習をしてみましょう。
英単語がすぐに出てこない時の対処法
1. 言い換えを活用する
英単語がすぐに出てこない場合、その単語を別の言葉で言い換えるスキルを身につけることが重要です。同義語(synonym)を活用することで、コミュニケーションを円滑にすることができます。
- happyの代わりにjoyful、glad、pleasedなどの言葉を使ってみましょう。
- difficultの代わりにchallenging、tough、demandingなどの言葉を使ってみましょう。
このようなパラフレーズを練習するには、同義語・類義語辞典やコロケーション辞典を使ったり、実践的な演習をする必要があります。詳しくは「【英検/IELTS/TOEFL対策】パラフレーズ力を鍛えるアウトプットの方法5選」の記事をチェックしましょう。
2. 周辺情報を使って説明する
一つの単語が出てこなくても、その単語を説明することで意図を伝えることができます。簡単な単語を、具体的な説明や例を使って説明する練習をしてみましょう。
- 「犬」という単語を「dog」を使わずに説明する練習: “It’s a common pet that barks and is very friendly.”(吠えることもあり、非常にフレンドリーな、一般的なペットです。)
3. 簡単な単語を使って話す
複雑な単語が思い浮かばない場合でも、簡単な単語を使って伝えることができます。シンプルな表現を使うことで、誤解を避け、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。
ポイントは、小学校1〜2年生の国語の授業で書く作文のようなレベルで、文章を作ろうとすることです。ネイティヴスピーカーであってもいつも難しい単語を使うわけではありません。簡単な単語であっても、確実に伝わる文章を自信をもって話せることのほうが重要です。
- sophisticatedという単語が出てこない場合: “This design is very cool and stylish.”(このデザインはかっこよくておしゃれです。)
まとめ
英語学習において、英単語がすぐに出てこないことに悩むのは誰にでもある自然なことです。
受動語彙を能動語彙に変えるための学習方法を取り入れることで、効率的に語彙力を向上させることができます。
使える語彙を増やすためには、反復練習、文脈をふまえた学習、そして実践の場を持つことが重要です。また、言い換えや説明を活用することで、英単語がすぐに出てこなくてもコミュニケーションを円滑にすることができます。
日々の学習にこれらのテクニックを取り入れ、英語力を着実に向上させましょう!